『ふたりがかり』読者のご感想
Y・Tさん
『ふたりがかり』読み終わりました。泣いた…、久しぶりに本にどっぷり感情移入しました。 ーー
読み進めるうちに、淡々と優しく鳴海ちゃんの語りからは想像しなかった大人達の事情や告白がでてきて驚きました。 ーー
みんな波乱万丈で、鳴海ちゃんこそ大変なのに、どんな事実を語る時も淡々と暖かい、冷静な、愛の眼差しでみんなをみつめている、自分をみつめている様子が、静かに海に潜っている人みたいだなぁと感じました。
というか、海に潜っている時のような気持ちで本の世界にいることができました。静かで、海と自分にだけ集中する時の感覚を思い出しながら読み切りました。
一文一文立ち止まり、時に瞑想または妄想状態になりました。誰でも光を自分で発している優しい光景、それが共鳴して大きくなっていく壮大な美しい光景、生きていくことは綺麗事ではなく、みんな本当に色々あるのだ。 ーー
鳴海ちゃんが教えてくれて勇気づけてくれる物語でした。スピリチュアルだけど、ふわふわと終わらない、優しくて勇敢な女の子、女の人の物語でもありました。
まだまだ語りたいことはあるのですが、読み終えて伝えたくなって書きました。
A.Oさん
双子がそれぞれの道を歩む様子を長い年月見させて頂けたところが、自分の若い頃、分かれ道を歩いていた頃などを思い出し、重ねてみたりして興味深く、どんどん引き込まれていきました。ーー
ピアノから黄色い光が楽しそうに出てくる描写が心に残っています。私も幼い頃にピアノを習い、長らくやる機会がなくていたのですが、ピアノは、楽しく弾いた記憶が少なかったのです。ーー
今、弾いてみたい曲を自分で選び、弾きたい時に練習し、黄色い光が出ているかな~と思いながらピアノを楽しんでいるのが不思議です。
タイトルのコンセプトも好きでした。機会に恵まれたこと、感謝いたします。
M.Oさん
『ふたりがかり』の中で、サキが祖父の意地や無念さを引き継ぐという話をしているところがありますが、私は異国の地で戦死した自分の祖父と、その無念を引き継いだ父の思いを重ね、読んでいて涙が出ました。
また、ここ数年苦しんでいた認知症の母の言動も、もしかしたら私に、何か先祖から引き継がれた人生の続きみたいなものを教えてくれていたのかもしれない、と、これまでと違う思いでとらえられるようになり、少し気持ちが楽になりました。
小説の最後で深海の底から脱出した映実が語った言葉をはじめ、いろいろな気付きを与えてくれたこの小説に出会えたことに感謝します。